10 (慶安四年 七月十四日)ここは鬼哭寺から北に一里ほど離れた所にある海竜院。小高い山の上にある、墓地に囲まれた廃寺だった。日が沈めば、辺りはしっとりとした闇に包まれる。今夜ここに、新たな生け贄となった夜鷹がいた。薄汚れた白地に赤い鶴の絵柄の着物。その着物から伸びた白い腕は一つに縛られ、天井の梁から吊されていた。項垂れた頭から伸びる長く乱れた髪は乳房に届き、両脚は限界まで開かされ、足が閉じられな...