CategoryWinter Angel 1/2
W inter Angel
エピローグ「はぁ~っ、参った参った。何で雪まで降ってくるわけ。あぁーあっ、もうこんな時間。麗子様起きてるかな?」マリアは階段を上がると麗子の自室をノックした。「麗子様。麗子様?まだお休みですか?」ドアノブに手を掛けて訪ねてみるが中から返事はなかった。「やっぱりまだお休みみたい」マリアが諦めて戻ろうとしたとき、突然ドアが開いた。「マリア。マリア」目を赤く潤ませた麗子がマリアを両手で抱きしめた。「どう...
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4麗子はマリアの片脚をソファの背もたれに掛け、もう片方の脚は床に降ろし、左手で花弁を大きく割り開いた。「ああぁ~ん。麗子様ぁ」「今夜はコレでかわいがってあげるわ。マリア」麗子は右手に握ったクリスタルの張り型をマリアに見せた。リアルな形をしたクリスタルは、その向こうに点滅するツリーのカクテル光線を、その中で歪曲させていた。麗子はマリアの蜜をそれに塗り付けると、目の前に拡がった花弁の奥にゆっくりと差し...
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3白いバスローブ姿で髪を拭きながら、麗子が食堂に入ってゆくと、そこには空を見上げるマリアの後姿があった。もうすぐあそこに帰る。帰らなければならない。マリアの背中がそんなことを言っているように麗子には見えた。振り返ったマリアの顔は、心持ち悲しげにも映り、夢の中で涙を流したマリアの顔を麗子は思い出した。「おはようございます。麗子様」「おはよう。マリア」「麗子様ぁ」「なぁに?」麗子は夢と現実がシンクロし...
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2師が走ると書いて師走。クリスマスイブ前日の土曜日だというのに、麗子は珍しく出勤だった。「行ってくるわね。マリア。25日のクリスマスは休みを取ってあるから」「はい。いってらっしゃいませ。麗子様」いつも通り玄関扉を開いて、マリアが深々と頭を垂れた。曇り空の下、風はないが刺すような冷気が館の中に流れ込んだ「あっ、そうそう、今日は忘年会だから」「はい」「それとお部屋の掃除、頼むわね」「はい。わかってます...
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12006年12月22日。今年も残すところ約1週間となった。クリスマスを控えた金曜日の夕暮れ、マリアは忘れていたクリスマスケーキとローストチキンの予約を済ませ、その帰り道、これもまた忘れていたシャンパンを2本買った。水色のケーブルニットのセーターに白いダウンジャケットを重ね、その袖口から水色と白の縞模様の手袋が覗いている。頭にはフワフワのボンボンの付いた白いニットのキャスケットをかぶっている。両手...
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