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あなたの燃える手で

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夢の森歌劇団

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四人の女を乗せた一台の黒いワゴン車が、千秋楽を迎えた劇場を後にした。
四人の女とは運転席の『龍崎レイラ』、助手席に乗る『紫月鏡花』、そして
去年入った二人の新人、『春風 恋』と『寿々水 雫』だった。

レイラと鏡花は、劇団草創期の立ち上げメンバーだ。
鏡花は現会長職にあり、レイラは出し物、配役、楽曲など全てに関わり、実
質この劇団を掌握している。
二人とも元劇団トップスターで、鏡花は女役、レイラは男役だった。

「それでレイラさん、会長……」
「会長はやめてよ、せめて鏡花さんにしてくれない?」
「あぁ、はい、すみません……。あのっ、鏡花さん。ホントにあたしと雫で
いいんですか。次の配役」
「だって、そういう約束でしょう」
「それはそうなんですけど……」
「でも今回だけよ。劇団内で変な噂が立っても困るから……」
「なんか、すみません」
「しょうがないでしょう。見られちゃったんだから……」
「でも、あんなところで……」
「そう、あんなところでしてたあたし達も悪いと思ってるから、あなた達の
要求を飲んだのよ。トップスターの相手役をやりたいだなんて……」

新人の雫と恋が、諸先輩を差し置きトップスターの相手役に抜擢されたのに
はワケがあった。
それはある日、二人が舞台の掃除を終えた時のことだった。
大道具置き場の方から、何やら人の音が聞こえるのに気がついたのだ。レッ
スンはとっくに終わって、残っているのは二人だけのはずなのに……。
二人は恐る恐る足音を忍ばせ、声のする方に近づいてみた。すると大道具の
陰で抱き合ってキスをする、レイラと鏡花を見つけてしまったのだ。
見てはいけないものを見てしまった二人の新人と、見られてはいけないとこ
ろを見られてしまった二人の大先輩と……。
気まずい空気の流れる中、レイラと鏡花は黙っていろと言い、恋と雫は次回
作の吹雪と綺羅の相手役を自分達にしてくれるならば、と条件を出した。
渋々条件を飲んだ二人の大先輩だが、同時に新人二人の性癖も見抜いてた。

「ねぇ、あなた達もそうなんでしょう? 正直に仰い……」
「は……、はい」
「やっぱりね。一目見てそうだと思ったわ」
「あのぅ、お二人のコトは誰にも言いませんから……」
「当たり前でしょう。あなた達だって、諸刃の剣なのを忘れないコトね」
「は、はい」
「とはいえ条件は飲むわ。場所もわきまえずにあんなところで……。あたし
達にも非があるから。ねぇ、こうしない? あなた達って、 二人ともMで
しょう? そうよねぇ?」
「えっ……? えぇ……」」
「あたし達、二人ともSなのよ」
「はい……」
「だからぁ……」
「だから……?」
「あなた達、あたし達の奴隷にならない?」
「奴隷に?」

恋と雫は、目を丸くして見つめあった。


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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土