3(慶安四年 七月四日)その日、仕事を早仕舞いした柘榴が日本橋に着いたのは、江戸の空が鬼灯色に染まったころだった。橋の袂を少し横によけた所にその占いはあった。既に数十人の殺気だった浪人達が列を作っている。その行列を横目に、多くの町人達が長い影を引いて往来を行き来している。「はっはぁ~ん! アレだねぇ、占いっていうのは!」柘榴は橋を渡り、反対側の欄干に寄りかかると、何気なく占いを観察した。占いをして...