Archive2011年10月12日 1/1
官能作家二階堂月子
【21】彼女が『蕩け妻』の原稿を取りに来たのは、締め切り日の昼過ぎの事だった。玄関のインターホンを通し、原稿を受け取りに来た旨を伝えるその可愛らしい声に、あたしと先生は目を合わせた。何故ならそれまで先生の担当は、荒木という男性だったからだ。「あらっ、いつもの……、荒木さんは?」「あっ、荒木は先日交通事故に遭いまして……」そんなことをサラッというその声は、どこかアニメ声にも聞こえる。「あらそう……。ちょっ...
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2011/10/12 (Wed) 06:18