9あの日の記憶が走馬燈のように、美咲の中で現れては消えた。自分の譜面で弾いていたら……。自分の曲で落ちたのなら納得も出来る。この人が、この人が勝手にあたしの曲を別の曲にしてしまった。その想いは今も美咲の中にある。そしてそれは、醜く歪みながら美咲の心の中に広がった。その冬香先生が目の前で……、しかもこんな格好で診察されている。彼女の全身は朱に染まり、その呼吸は苦しそうに乱れている。もっともっと虐めてやれ...