21(慶安四年 七月二十二日)碧の黒髪が如来の首を這い上がり、その顔を包み込もうとしていた。その時、如雷が大きく息を吸い込んだ。そして口を大きく開けるとそれを一気に吐き出した。それは最大級の ”魔響波” だった。鬼哭寺全体が震え、大きく軋みながら傾いていく。それにつれ柱がひしゃげ、支えを失った屋根が本堂を押し潰していった。もうもうと立ち昇る土煙と轟音。しかしその中に既に碧の姿はなかった。いち早く本堂か...