15(慶安四年 七月十六日)「薩摩のくノ一は後一人。そのくノ一が密書を持っている筈」柘榴は海竜院を後にすると、片脚を引きずりながら碧の長屋に向かった。そこで二重火の持っていた紙を碧に渡した。柘榴の話から大筋を理解した碧は、満身創痍の彼女からその紙片を受け取ると捜索を引き継いだ。碧はその日の夜から、十六夜橋の見える柳の木の下で橋を見張っていた。そして二日の時が過ぎた。(慶安四年 七月十八日)月の綺麗な...