16(慶安四年 七月十九日)日が沈み、辺りが次第に暗くなっていく。屋形船の中で、女は長襦袢の帯を解いていった。白く光る艶めかしい肩を、赤い長襦袢が滑り落ちていく。「珍しいねぇ、あんたみたいな子が声を掛けてくるなんて……」「そうなの?」「初めてだよ。女に声を掛けられたのは。女が好きなのかい?」「うん」「まぁいいさ。あたしゃ貰えるモノが貰えりゃ、男でも女でもね……」女は裸になると、薄汚れた布団の上に膝をつ...