11『アマデウスの二人 4 』響子は厨房の奥で、明日香の喘ぎ声を聞いていた。陰になって姿が見えないのは残念だったが、何も今日でなくてもいい。あの子は必ずまた『アマデウス』に来る。響子はそう確信していた。午後3時。響子は本当に『アマデウス』に来ていた。今朝、駅で聞いた会話通りに、彼女が来るかもしれないからだ。もし明日香が来たら、ドアに本日休業の札を出し、鍵を掛ける手筈だった。そしてその時は訪れた。響子...