其の九淫靡衆の百舌と艶魔衆の桔梗は、そんな滑川に架かる橋の下へと移動した。この橋の下には、畳一枚ほどの面積だけ葦が生えていない一角があった。二人はそんな場所で向かい合った。まだ早朝の海岸には誰もいない。いやっ、いたとしても、この川辺には葦が高く生い茂っている。ましてや二人がいるのは橋の下だ。その姿が見えるはずがない。「どうだい? ここは。ゆっくり楽しめそうだろう」「そうだねぇ、周りからは見えないし...