感悶寺『奥の院』ー淫・蕩・色・欲・痴ーー序章ー小さな駅の改札口を抜けると、古都はまだ夏に包まれていた。快晴の空には僅かな雲もなく、その日差はアスファルトを容赦なく灼熱の絨毯へと変えている。改札口を抜けた美鈴の肌に、無数の針のような日差しが突き刺さった。あたしは重いバッグを左肩に掛け直し、白い日傘を差すと、駅からほど近い『観文寺行き』のバス停へと歩きました。タオルで汗を拭きながら時刻表を見ると、運良...