第8話:密会 2時江は黒い大きな南京錠を外すと、観音開きになった蔵の扉を開いた。昔は物置だった蔵も、今ではガラクタが隅に積まれているだけだ。高さは中二階ほどもあり、屋根の下には太い梁が数本組まれている。その梁からは、数本の縄がブラ下がっていた。四方は分厚い白壁に囲まれ、電気をつけなければ、窓は遙か高見にある小さな通気口だけだ。百合子が中に入ると、時江は金庫を思わせるその分厚い扉を閉め、中から鍵を掛...