第4話:海百合荘 2「沙織、沙織。さぁ、こっちにいらっしゃい」海百合荘1階の奥にある従業員用の寝室。そこは厨房の奥にある和室だ。8畳の部屋の中央に引かれた布団の上に、風呂上がりの熟れた体を横たえ、海百合荘の女将『南百合子』は、沙織に向かって手招きした。「はい、ただいま……」沙織と呼ばれた若い女は、一糸まとわぬ姿になると、恥ずかしがる素振りも見せず、百合子の隣に仰向けに横たわった。他の通いの従業員はみ...