第3話:海百合荘 1「すいませぇ~ん」真紀は海百合荘の玄関から声を掛けた。すると奥からエプロン姿の女将らしき女性が、大きな胸を揺らしながら小走りであらわれた。「はい、いらっしゃいませ。えぇ~っと……」「予約した夏宮ですけど」「あっ、夏宮様、お早いお着きでしたねぇ」「えっ、えぇ……」女将は大きな瞳で真紀を見つめた。その視線はネットリと絡みつくようだ。「皆さん大抵は表の方に、あっ、表っていうのは島の北側の...