第2話:女蜂島 2朝、目が覚めると船は上下に大きく揺れていた。船窓からは、海面から生まれる無数の波頭を、東風が根こそぎ吹き飛ばしていくのが見える。そしてその向こうに見える目蜂島はまだ遙かに遠い。島が目の前に迫るには、まだ時間がかかりそうだ。海はかなり荒れているが、港には本当に予定通りに着くだろうか。まさか遭難ということはないだろうが……。狭い船室で、真紀はふと不安になった。それから真紀は、船の揺れに...