☃6 麗子が風呂から上がりテレビを見ていると、部屋のドアがノックされた。「女将の美春でございます」「どうぞ……、入って」引き戸が静かに開けられ、和服姿の美春が姿を現した。片手には地味なトートバッグを持っている。美春は浴衣を着た麗子の横に正座をすると、そのまま頭を下げた。「氷見川様、本日はご宿泊いただきまして、ありがとうございます」「もう仕事は終わったの?」「はい、今日はもう……」「そう、それじゃ...