☃4箱根の老舗旅館『錦明楼』。その広い日本庭園には、昼前から降り始めた雪が積もり始めていた。ようやくパーティーがお開きになり、麗子が女将と共に離れに向かったのは、午後3時を回っていた。「それでは氷見川様、離れへご案内致します」女将は品良く頭を下げると、麗子に和傘を渡した。そして本館の横から一旦外に出ると、降りしきる雪の中を自分も和傘を差し、庭園の木々の間を足早に歩いていった。麗子は敷石の上に...