27「森山蘭。時間です、起きなさい」イングリットが闇の中から溶け出すように現れた。いつものように全裸で寝ていた蘭は、イングリットの声で目を覚ました。部屋は薄暗く、逆光に立つイングリットの修道女のような服の輪郭がわずかに光っている。「……イングリット」「今日が最後の部屋ね、蘭」イングリットはドアの前からゆっくりとベッドの所まで歩いた。真っ直ぐに蘭に対して迫ってくる。蘭は上体を起こし立ち上がろうとした。...