1明日香の後には既に10人以上の人が並んでいる。前に並ぶ彼女は、いつもの水色のトートバッグを持ち、明日香は迷彩柄のリュックを左肩に掛けていた。滑り込んできた電車の風に、明日香のセミロングの髪が勢いよくなびいた。ドアが開いても降りる人はほとんどいない。明日香は彼女の後に付いて電車に乗り込んだ。彼女は奥へと進み、水色のトートバッグを右腕に掛け、押されるようにして左手で連結部分の手摺りに掴まった。明日香は...