73バスターミナルを横切り、幹線道路の信号に捕まった。初夏の日射しはいつしか真夏の熱気を地上に運んでいた。「商店街行ってみようか」手で日射しを遮りながら沙也加が行った。「うん、いいですねぇ。行きましょ。行きましょ」横断歩道の向こうに見える商店街をめざし二人は歩き出した。矢のような日射しが容赦な肌を貫き、一月早い夏を運んだ。商店街の道は石畳になっており、千鶴は若干の不安を覚え歩くペースが少し落ちた。...