狩人はバニラの香りー プロローグ ー七分袖のデニムジャケットの裾を翻し、星野明日香は駅に向かって猛ダッシュしていた。「あぁもう、間に合わないかもぉー」いつもは何気なく歩いている駅までの15分道のりが、走るとこんなにも遠く感じるとは、日頃の運動不足もたたり、駅に着いたときには、もう心臓が口から出そうなくらい苦しかった。もどかしくジャケットから定期を出し...