白い魔女
73
バスターミナルを横切り、幹線道路の信号に捕まった。初夏の日射しはいつしか
真夏の熱気を地上に運んでいた。
「商店街行ってみようか」
手で日射しを遮りながら沙也加が行った。
「うん、いいですねぇ。行きましょ。行きましょ」
横断歩道の向こうに見える商店街をめざし二人は歩き出した。
矢のような日射しが容赦な肌を貫き、一月早い夏を運んだ。
商店街の道は石畳になっており、千鶴は若干の不安を覚え歩くペースが少し落
ちた。それを察知した沙也加が、優しく千鶴の手を握った。
「大丈夫? 千鶴」
「大丈夫だよ。平気平気」
「ねぇねぇ、あの喫茶店かわいい」
沙也加は歩きながら、商店街の入口にあるガラス張りの喫茶店を指差した。
ガラス越しにケーキの並ぶショーウインドウが見える。
喫茶店のガラスのドアには『アマデウス』と書いてあった。
「美味しそうー。千鶴ここ入ってみよう」
沙也加は千鶴の手を引いたままガラスのドアを押した。
「あれ? これってどこかで……」
「えっ? 何?」
「ううん。これって、なんか見たことあるような……」
石畳の道。その両側にはカフェやアクセサリーショップが並んでいる。
その人影は千鶴の手を握ると、そのカフェの入口に千鶴を引いていった。
千鶴の手を引いたままその人影は店の中に入ってゆく。
その後ろ姿。白い制服のような服を着ている。どうしてこんな街中で、でも千鶴
の胸は高鳴っていた。この人といるとすごく楽しい。すごく嬉しい。
あたしはこの人といると安心なんだ。
千鶴は温かな手に引かれながら、店の中に入っていった。
「そうだ。これって夢。夢で見た。あれは沙也加だったんだ」
千鶴に夢の記憶が甦った。
ゆかりは自分の作った浣腸液のビーカーを真弓に渡した。
その溶液をシリンダーに吸い上げると御堂にアナルにそれを流し込んだ。
「ああぁ、くっ苦しい」
「あら、もう苦しいの? いつもこれ位は平気なはずだけど」
「ああぁ、もう、もうだめぇ。ねぇお願い。本当に苦しいの」
御堂のいような苦しみように、真弓は背後のゆかりを振り返った。
「少し濃くしてみました」
「ふふふっ、そう。なるほどね。それで」
ゆかりはどれくらの希釈で作ったのかを真弓に説明した。
「大丈夫でしょうか」
「大丈夫よ。それくらいなら。むしろ丁度いいくらいよ。あなたも恨みがある
ものね」
ゆかりはそれには答えず、ワゴンのはこの中を覗き込んだ。そこに小さな布製
の袋が1つある。大きさはデジカメを入れるのに丁度いいと言ったところだろ
うか。ヒモで口を引き絞るようになっているその袋を持ち上げると、中で硬い
ものが触れ合う手応えがあった。ゆかりが袋の口を開けると、中には色とりど
りのビー玉が入っている。全部で30個はあるだろうか。
「えっ、ビー玉?」
「入れてみる?」
「いやっ、そんなっ、やめて」
二人の会話に御堂の悲しい願いが割って入る。
「これを?」
「そう。この今にも吹き出しそうなアナルに」
「ふふっ、面白そう」
そう言って御堂の目を見つめるゆかりの瞳は、すでに被虐から加虐の立場にな
った自分を自覚してか、その微笑みは自信に溢れ妖艶ささえ醸していた。
バスターミナルを横切り、幹線道路の信号に捕まった。初夏の日射しはいつしか
真夏の熱気を地上に運んでいた。
「商店街行ってみようか」
手で日射しを遮りながら沙也加が行った。
「うん、いいですねぇ。行きましょ。行きましょ」
横断歩道の向こうに見える商店街をめざし二人は歩き出した。
矢のような日射しが容赦な肌を貫き、一月早い夏を運んだ。
商店街の道は石畳になっており、千鶴は若干の不安を覚え歩くペースが少し落
ちた。それを察知した沙也加が、優しく千鶴の手を握った。
「大丈夫? 千鶴」
「大丈夫だよ。平気平気」
「ねぇねぇ、あの喫茶店かわいい」
沙也加は歩きながら、商店街の入口にあるガラス張りの喫茶店を指差した。
ガラス越しにケーキの並ぶショーウインドウが見える。
喫茶店のガラスのドアには『アマデウス』と書いてあった。
「美味しそうー。千鶴ここ入ってみよう」
沙也加は千鶴の手を引いたままガラスのドアを押した。
「あれ? これってどこかで……」
「えっ? 何?」
「ううん。これって、なんか見たことあるような……」
石畳の道。その両側にはカフェやアクセサリーショップが並んでいる。
その人影は千鶴の手を握ると、そのカフェの入口に千鶴を引いていった。
千鶴の手を引いたままその人影は店の中に入ってゆく。
その後ろ姿。白い制服のような服を着ている。どうしてこんな街中で、でも千鶴
の胸は高鳴っていた。この人といるとすごく楽しい。すごく嬉しい。
あたしはこの人といると安心なんだ。
千鶴は温かな手に引かれながら、店の中に入っていった。
「そうだ。これって夢。夢で見た。あれは沙也加だったんだ」
千鶴に夢の記憶が甦った。
ゆかりは自分の作った浣腸液のビーカーを真弓に渡した。
その溶液をシリンダーに吸い上げると御堂にアナルにそれを流し込んだ。
「ああぁ、くっ苦しい」
「あら、もう苦しいの? いつもこれ位は平気なはずだけど」
「ああぁ、もう、もうだめぇ。ねぇお願い。本当に苦しいの」
御堂のいような苦しみように、真弓は背後のゆかりを振り返った。
「少し濃くしてみました」
「ふふふっ、そう。なるほどね。それで」
ゆかりはどれくらの希釈で作ったのかを真弓に説明した。
「大丈夫でしょうか」
「大丈夫よ。それくらいなら。むしろ丁度いいくらいよ。あなたも恨みがある
ものね」
ゆかりはそれには答えず、ワゴンのはこの中を覗き込んだ。そこに小さな布製
の袋が1つある。大きさはデジカメを入れるのに丁度いいと言ったところだろ
うか。ヒモで口を引き絞るようになっているその袋を持ち上げると、中で硬い
ものが触れ合う手応えがあった。ゆかりが袋の口を開けると、中には色とりど
りのビー玉が入っている。全部で30個はあるだろうか。
「えっ、ビー玉?」
「入れてみる?」
「いやっ、そんなっ、やめて」
二人の会話に御堂の悲しい願いが割って入る。
「これを?」
「そう。この今にも吹き出しそうなアナルに」
「ふふっ、面白そう」
そう言って御堂の目を見つめるゆかりの瞳は、すでに被虐から加虐の立場にな
った自分を自覚してか、その微笑みは自信に溢れ妖艶ささえ醸していた。