7「あのう、ちょっとすみません」千鶴は南のテーブルに近づくと、その横顔に声を掛けた。声を掛けられた方は、目を丸くして返事をした。「あなた昨日、天宮玲の選挙演説聞いてくれてたわよね」「えっ? あっ、はい……」南は怪訝そうな顔で千鶴を見た。玲の顔は知っているが、秘書の顔は知らなかったようだ。「あっ、ごめんなさい。あたしこういう者です」千鶴はまずは名刺を渡した。「あっ、天宮さんの、秘書さんですかぁ?」「は...