4エマは910号室の鍵穴に鍵を差し込んだ。ドアを開けると、そこには夏のなごりのような熱気が籠もっている。「さぁ、入るがいい。ここが我らの城だ」エマは体でドアを押さえると、左手を中へと差し入れた。「お邪魔しまぁ~す。うっ、熱っ……」「引っ越しを済ませてから、1週間ほど来ていないからな」靴を脱ぐと、エマが先に立って室内へと歩みを進めた。短い廊下には、バスルームとトイレの他に3つのドアがある。エマが一番手前...