2「あぁ、やっぱり誰かいる。本当にストーカー? なんで? 一体誰が?」帰りが遅くなると、エリの回りにストーカーの影がチラつく。言葉にならない言葉を胸に納め、エリは商店街の途中から脇道に入ると、平行する裏道に出た。いつもは煌々と明かりを点す夢の森シネマ。その小さな映画館も、今はまるでエリを拒絶するように扉を閉ざしている。映画館の前で立ち止まると、エリは赤いトートバッグを覗き込んだ。持ち手にブラ下がる...