3エリは誰もいない夢の森商店街を、幹線道路近くまで走った。横には明かりの消えたカフェ・アマデウスがある。しかし目の前の横断歩道は赤信号だった。奈美が言ったように、さすがに駅前は明るい。時折走り去る車のライトが、束の間の安息を心に与えてくれる。終電前のこの時間、駅から出てくる人も少なからずいた。そんな状況にゆとりができ、エリは後ろを振り返った。「もういない? あきらめたかしら……」エリはため息をつくと...