私は何もしない。ただ見ているだけ。そう、全ての選択肢は、アナタにあるのだから……。 死神イングリットプロローグ昨日までの初夏の陽気が、嘘のように寒い日だった。その日、森山蘭は昼近くまでベッドの中で過ごしていた。淀んだ空気に包まれたの蘭の部屋に、それを切り裂くように突然携帯が鳴った。虚ろな意識の中で惰眠を貪っていた蘭は、目を閉じたまま携帯に出た。「はっ、はい、森山です」「もしもし...