65沙也加自身、屋上には久しぶりにきた。普段見上げている建物や街を、俯瞰して見るのは新鮮なものがある。沙也加が千鶴かは目を離している隙に、千鶴の姿が見えなくなった。どうやら干してあるシーツに陰に入ったらしい。沙也加が追いつこうと足を速めた時だった。「きゃあぁ」千鶴の悲鳴が聞こえた。急いでシーツの向こう側へ回り込む。そこには斜めに倒れ込んだ千鶴の姿があった。幸い怪我らしい怪我はしていないようだった。...