61「ごめんなさい。でも松葉杖にも大分慣れたし、平気かなって……」「もう、心配させないで。でもまぁ落ち込んでるよりは良いけどね」沙也加が笑った。つられて千鶴も笑った。千鶴の顔に笑顔が戻った。「結局、連絡ないの? 鏡一君からは」千鶴は無言で頷いた。だから言ったじゃない。と言う言葉を沙也加は飲み込んだ。「あたしね……」「えっ?」沙也加はいったん言葉を切ったが、思いきって続けた。「あたしね、孤児院で育ったの...