白い魔女
61
「ごめんなさい。でも松葉杖にも大分慣れたし、平気かなって……」
「もう、心配させないで。でもまぁ落ち込んでるよりは良いけどね」
沙也加が笑った。つられて千鶴も笑った。千鶴の顔に笑顔が戻った。
「結局、連絡ないの? 鏡一君からは」
千鶴は無言で頷いた。
だから言ったじゃない。と言う言葉を沙也加は飲み込んだ。
「あたしね……」
「えっ?」
沙也加はいったん言葉を切ったが、思いきって続けた。
「あたしね、孤児院で育ったの」
「孤児院で?」
千鶴が少し目を丸くして聞き返す。
「うん。事故で両親を亡くして、もっともその時の記憶はないんだけどね。
でもその孤児院の先生がとっても厳しい人だったの」
千鶴は黙って沙也加を見つめている。
「挨拶はもちろん、身の回りの事とか、言葉使いや箸の持ち方までね」
「へぇ、それで」
「そりゃ厳しかったわ。男の子なんかよく叩かれてた。女の子でも時々。
でもね、あの先生がいたから今のあたしがあるって言うか、上手く言えない
けど、あの時、孤児だからって優しくするだけだったら、ろくな大人になってなかったわ。あの先生から怒られた事って、今になってとってもよくわかる」
涼やかな風に、大銀杏の若葉が可愛らしく手を振った。
御堂は口をゆかりの耳元に近づけると囁いた。
「まずはココの毛を剃りましょうねぇ。このままで」
「いやっ、そんなのいや。いやよぉ」
「邪魔なものを剃ってツルツルにして、じっくり味わうの。あなたの蜜を」
「いやぁ、そんな事やめてぇ」
御堂はゆかりから離れると、分娩台の影にあった手押しのワゴンを押してきた。上下二段のワゴンには色々な責め具が乗っていた。
御堂はシェービングスプレーと未使用のT字カミソリを手にすると、ゆかりの前にしゃがみ込んだ。
「ねぇ、お願いやめてっ」
しかし御堂は無言で、いやその唇は微かに微笑みながら、ゆかりの黒い茂み
にスプレーを吹き付けた。黒い茂みが白い泡で覆われてゆく。
スプレー缶を床に置くとゆかりを見上げた。ゆかりと目が合うとその唇が紅い
三日月のように歪んだ。
御堂はT字カミソリを手にすると、泡の周辺から剃り始めた。
「いっ、いやぁ。いやぁ、やめてぇ」
カミソリはブルトーザーのように泡を運び去り、無抵抗な恥毛が鋭い刃で根こ
そぎ切断され、後には剃り上げあれた白い肌が露出していった。
「ごめんなさい。でも松葉杖にも大分慣れたし、平気かなって……」
「もう、心配させないで。でもまぁ落ち込んでるよりは良いけどね」
沙也加が笑った。つられて千鶴も笑った。千鶴の顔に笑顔が戻った。
「結局、連絡ないの? 鏡一君からは」
千鶴は無言で頷いた。
だから言ったじゃない。と言う言葉を沙也加は飲み込んだ。
「あたしね……」
「えっ?」
沙也加はいったん言葉を切ったが、思いきって続けた。
「あたしね、孤児院で育ったの」
「孤児院で?」
千鶴が少し目を丸くして聞き返す。
「うん。事故で両親を亡くして、もっともその時の記憶はないんだけどね。
でもその孤児院の先生がとっても厳しい人だったの」
千鶴は黙って沙也加を見つめている。
「挨拶はもちろん、身の回りの事とか、言葉使いや箸の持ち方までね」
「へぇ、それで」
「そりゃ厳しかったわ。男の子なんかよく叩かれてた。女の子でも時々。
でもね、あの先生がいたから今のあたしがあるって言うか、上手く言えない
けど、あの時、孤児だからって優しくするだけだったら、ろくな大人になってなかったわ。あの先生から怒られた事って、今になってとってもよくわかる」
涼やかな風に、大銀杏の若葉が可愛らしく手を振った。
御堂は口をゆかりの耳元に近づけると囁いた。
「まずはココの毛を剃りましょうねぇ。このままで」
「いやっ、そんなのいや。いやよぉ」
「邪魔なものを剃ってツルツルにして、じっくり味わうの。あなたの蜜を」
「いやぁ、そんな事やめてぇ」
御堂はゆかりから離れると、分娩台の影にあった手押しのワゴンを押してきた。上下二段のワゴンには色々な責め具が乗っていた。
御堂はシェービングスプレーと未使用のT字カミソリを手にすると、ゆかりの前にしゃがみ込んだ。
「ねぇ、お願いやめてっ」
しかし御堂は無言で、いやその唇は微かに微笑みながら、ゆかりの黒い茂み
にスプレーを吹き付けた。黒い茂みが白い泡で覆われてゆく。
スプレー缶を床に置くとゆかりを見上げた。ゆかりと目が合うとその唇が紅い
三日月のように歪んだ。
御堂はT字カミソリを手にすると、泡の周辺から剃り始めた。
「いっ、いやぁ。いやぁ、やめてぇ」
カミソリはブルトーザーのように泡を運び去り、無抵抗な恥毛が鋭い刃で根こ
そぎ切断され、後には剃り上げあれた白い肌が露出していった。