2ntブログ

あなたの燃える手で

Welcome to my blog

官能作家 二階堂月子

【5】
「先生、今回の作品『蕩け妻』は、人妻が犯されますよねぇ。最初は抵抗しな
がらも、思いを寄せていた人に最後は体を許してしまう。その拒みながらも体
を許すという、相反する行為がなかなか書けないんですよね」
「そうよ」
「それならあたしがその男役をやりますから、先生は主人公の人妻役を演じて
ください」
「なるほど。そうね、そうしましょうか……」
先生は戸惑いながらも人妻役を引き受けた。
べつにシナリオや決まったセリフがあるわけではないが、あたしとしてはそれ
くらいの配役は必要だと思ったのだ。
その時、先生が立ち上がって着物の帯を解き始めた。
「えっ? 先生……?」

「だって、このままじゃ何も出来ないでしょう。それに着物もシワになるし」
あらあら、この人結構ヤル気だわ。
それにしても、自分が犯されるかも知れないという時に、着物のシワの心配し
てる場合じゃないと思うけど……。

結局先生は白い長襦袢姿になった。
それはそれで色っぽく、あたしとしては満足度アップだ。
「はぁ、涼しいぃ。着物は暑くて……、ねぇ」
いやいや先生、アンタこれから犯されるかも知れないんですよ。涼んでる場合
じゃないんですよ。まったくこの人ったら、状況がわかってないというか、の
ん気というか……。

「それじゃ先生、突然彼が部屋に入ってきて、人妻と2人きりになって……」
「ううん、そこからじゃなくて、彼女がベッドに押し倒されたところからでい
いわ。そこからの心理描写が書けないんだから」
「はい、それじゃそこから」
この和室にベッドはない。だから先生は取り敢えず畳の上に仰向けになった。
そしてそこに、あたしがのし掛かるように上になる。
そうそう、あたしの服装は上がポロシャツで下は膝上のスカートだ。

「えぇっと、人妻の名前は……」
「いいわ、月子で。それに男役も陽子でいきましょう」
「えっ? はい、それじゃそれで……」
あたしはゴクリと唾を飲むと、先生を見つめた。
先生もあたしのことを見つめている。何だか妙な気分だけど、あたしは演技の
スタートを切った。

「月子さん、僕は前からあなたのこと」
そう言って、先生の両手首を握って畳に押しつける。
「そんな、いけません。あぁ、やめてっ。あたし達はもう終わったのよ」
「何故ですか、今更そんなこと……」
先生の体に、自分の体重を預けるように載せた。
「だって、だって」
「だってなんです」
「あたしには夫が……、夫がいるのよ」
「そんなもの……、僕が……、僕が忘れさせて上げます」
あたしは先生の首筋にキスをした。その瞬間、先生の体がブルッと震えた。
「あぁ、陽子さん」
今のって、演技じゃなくてホントに感じた?

Comments 0

Leave a reply

About this site
女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
About me
誠に恐縮ですが、不適切と思われるコメント・トラックバック、または商業サイトは、削除させていただくことがあります。

更新日:日・水・土