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あなたの燃える手で

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御令嬢妄想奇譚

【12】
「せ、先生、痛いです。あぁ、痛いっ……」
あたしが小さく叫ぶと、先生の手の力がフッと消えました。
腫れ上がった足首には、まだわずかな痛みが余韻のように残っています。
「もう、おおげさねぇ」
「だって……」
「じゃあこの辺なら我慢できる?」
先生は比較的腫れの少ない場所を握りました。そして徐々にその手に力を込め
てきます。
「あっ、先生……」
「この辺ならそんなに痛くないでしょう」
勿論それほど力を入れるわけでありません。でも椅子に載っているこの脚を、
自分の意思で動かせないという恐怖感があたしの中にはあります。
「でも……、なんだか怖い」
「どう? 痛い?」
「大丈夫です」
「でしょう? それじゃだんだん強くするわよ」
あたしの中に、ゾクゾクとした感覚が生まれました。
「あっ、あのう、チョット、チョット痛いです」
「そう、これくらいが痛いの? じゃあ、このまま握っていたら辛いわね」
「えっ……?」
「どれくらい我慢できるか試してみようか」
ゾクゾクはあたしの中で大きく膨らんで来ます。
「どれくらい……、我慢するんですか?」
「そうね、それじゃまず3分よ」
「えっ? 3分も……」
「そうよ、3分。3分我慢しなさい」

あたしはこの命令に感じている。この氷のような言葉が、あたしを熱くしてい
るのだと、その時に気が付きました。

時間は遅々として進みません。痛みだけが鈍く長く続き、あたしはそれに耐え
るしかないのです。
「あぁ、痛いっ」
「あと1分よ……。痛みに耐えてる絢音さんの顔、とっても綺麗よ……」
「えっ?」
「もう少し痛くしていい?」
そう言って、指先に少し力が加わりました。
「はぁぁっ、せ、先生」
「そう、その顔、その顔よ絢音さん。あぁなんて綺麗なの」
手が離れ痛みが引いていきます。そして先生の顔が、あたしの顔に近づいてき
ました。
「先生……、梓先生……?」
近づく顔は止まりません。
「絢音さん」
もう唇が触れ合いそうです。
「あっ、先生……」
「嫌なの?」
あたしは勢いよく首を振りました。
先生がニッコリと微笑むと、その唇があたしの唇に重なりました。
同時に腫れた足首から、先生の手が離れました。

佐智枝さんのキスは、どこか宙に浮いたようなフワフワとした優しい感じ。
梓先生のキスはもっと力強く、ギュッとあたしを抱きしめてくるようです。

1度触れた唇が離れました。
前髪が顔に掛かった先生は、妖艶な眼差しであたしを見つめています。
「今みたいにされるの……、好き?」
その質問に、あたしはやっとのコトで首を立てに振ったのです。

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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土