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あなたの燃える手で

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こちら夢の森探偵社

12
その日の夕方、リンダは女子トイレで黒髪のカツラを外した。
ヘルメットを脱いだ女性ライダーのように、頭を振って赤い髪をほぐす。
「ふぅー、涼しい、そうだエマさんに……」
リンダは携帯を出すと、エマにメールをした。

>学食のカレー、ホントに甘かったですぅ。あれはお子ちゃまカレーですね。
>それとあの北島奈美っていう人、全然怪しいトコロないんですけど。
>どうします? まだ続けますか? 彼女そろそろ帰ると思うんですけど。

すると、エマからの返信はスグに来た。
「おっ? ホントに返信早いな、あの人」

>そうだろう。あそこのカレーは甘い。絶対甘い。
>デザートの杏仁豆腐は食べたか? あれはイケるぞ! オススメだ!
>もし食べていないのなら、明日食べてみるコトだな。
>P.S 当然だが尾行は続行。取り敢えず1週間は様子を見る。

「杏仁豆腐? 先に教えて下さいよ、そういうコトは。なんで小出しにする
かな。やっぱり尾行は続行か……」

リンダは池のベンチで奈美の帰りを待っていた。
既に日は傾き、辺りは夜の帳を降ろし始めている。
やがて彼女が姿を見せたとき、リンダも学生達に混じって正門を出た。
彼女は正門を出ると足早に幹線道路に向かい、バス停に立った。
そこには既に数人の学生が並んでおり、リンダも彼女の後をつけながらその最
後尾についた。
10分程で「夢の森駅西口行」のバスはやって来た。

30分程バスに揺られ、奈美とリンダは夢の森駅まで帰ってきた。
20人余り乗客と共に、奈美が先に降りていく。リンダは一番最後にバスを降
りると、10メートル程の間隔を開けて奈美を尾行した。
真っ直ぐ駅に向かっていく奈美に、肩から赤いトートバックを下げた1人の学
生が声を掛けてきた。バッグの持ち手で白クマのぬいぐるみが揺れている。
「奈美先生」
「あらっ、エリちゃん」
「あたしも今のバスだったんですよ。車内で先生見つけたんですけど、一番後
ろに座ってたから、声かけられなくて……」
「あら本当? 全然気が付かなかったわ」
「あ、あのぅ……、先生もう帰るんですか?」
「そうねぇ、どうして? あっ、そうか……。お腹空いたんでしょう」
「えっ、えぇ」
「エリちゃん、もう二十歳になったんだっけ?」
「はい」
「それじゃ……、チョット一杯、どう? お気に入りのバーがあるの」
「バーですか。はい、行きます」
エリは嬉しそうに応えると、奈美の横に寄り添いながら、バスの走ってきた道
を戻るように歩き出した。

リンダも2人の後を尾行する。
「あらあら? どちらへ行かれるのかしら? こっちは事務所の方向だし、
あたし的には大賛成だけど……」
幹線道路沿いを暫く歩くと、2人は白いゴシック調の建物に入っていった。
「ここって、ホテル クイーンホリデーじゃん」
リンダもエントランスから数段の低い階段を上り、ホテルの中へと入った。
2人は2基並んだエレベーターに乗ったところだ。
扉は閉まり、階数表示のランプが上昇していく。そして18階で止まった。
「ここの18階って……、グルメ街か。2人で食事かな……?」
リンダは隣のエレベーターに乗り込むと、18階のボタンを押した。

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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土