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あなたの燃える手で

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こちら夢の森探偵社

11
池の周りのにいた学生達が、校舎の中へと消えていく。
「昼休み、終わったみたいですね。エマさん」
「うむ、今から午後の講義だ」
昔を思い出しているのか、エマは目を閉じたまま扇子で顔を扇いでいる。
「あっ、学長室のカーテンが開きましたよ」
エマは学長室をチラリと見た。
「あれが学長の雪柳琴美だ。判る人には判る妖しい雰囲気を持っている」
「って言っても、ここからじゃ顔も見えませんし、雰囲気も判りません」
「そんなものはスグに判る」
「えっ? どういうコトですか?」
「それはなぁリンダ。君がこの学園に潜入するからだ」
「はっ? 何て? 今何て?」
「だから潜入だ。君は明日かからココの学生になるのだよ、リンダ」
「潜入って……、どうやって」
「そんなコト簡単だろう。そこの正門から入ればいい」
「いやっ、そういう意味じゃなくて……」
「マークするのは北島奈美、この大学の准教授だ」
「北島奈美。どうしてその人を?」
「それは言えない」
「だから、そこは言いましょうって、エマさん」


そして翌日、渋々といった感じで夢女に潜入したリンダから、エマのPCにメールが届いた。
その時エマは、事務所のPCの前で片手に丼を持ち、出前で注文したカレー南
蛮に箸を付けようとしていた。
エマはカレー南蛮を一口啜り、丼を持ったままメールを読んだ。

>リンダさん、暇ですぅー。どこへ行っても暑いし、お腹空いたー。
>あの人、別に怪しいところなんてありませんよ。
>一応写真は何枚か撮りましたけど。

「なんだリンダ、初日からもう音を上げてるのか? 君には少々荷が重かったか? しかしこれも探偵修行と思って、せいぜい頑張ってくれ」
エマはそのメールに返信するべく、丼と箸を置くとキーボードを叩いた。

>暑かったらどこか涼しい所に行けばいいだろう。
>そうだ、そこの学食は涼しいしウマいぞ。特にカレーがな。
>今日の昼は学食のカレーにしたらどうだ?
>わたしも今、カレー南蛮を食べているところだ。
>ただし、学食のカレーは少し甘いとわたしは思う。
>P.S 彼女のマークは大学を出てからも頼む。出来れば家まで尾行しろ。

それだけ打ち込むと、エマはリンダの携帯にメールを送信した。

その頃、リンダは奈美を尾行するように4階の廊下を歩いていた。
その姿は黒髪のセミロングのカツラを着け、ヘビメタバンド『VIRGIN BEAST』の黒いTシャツの上から、モスグリーンのシャツを着ている。下は
いつものジーンズ。手には帆布の黒いバッグを持っている。
奈美はリンダの5メートル程前を歩いている。午前中の講義を終えて、どこか
に向かっているらしい。
そんなリンダの耳に、メールを告げる着信音が聞こえた。
「あっ、エマさん、返信早っ!」
リンダは歩きながらそのメールを読んだ。
「学食のカレー? カレー南蛮? そんなのどうでもイイです」
その時、前を歩く奈美が急に立ち止まり、ポケットから携帯を取りだした。
どうやら彼女にも、メールが届いたらしい。
奈美はその場で振り返ると、リンダに向かって歩いてきた。
「えっ、な、なに?」
奈美はリンダとすれ違い、足早に歩いていく。
リンダはメールの続きを読みながら、奈美の後をつけていった。
「学食のカレーは少し甘い? それもどうでもイイです。えっ? 家まで尾
行? 今日帰れないじゃん。それに肝心なコトがP.Sって……」

前を行く奈美は階段を上がり、5階にいくと学長室のドアをノックした。
「あれっ、学長と一緒にお昼かな……。学長のお昼って何食べるんだろう?」
奈美はそのまま学長室へと姿を消した。
「あぁーあっ、あたしも学食でカレーでも食べよう。そんなに甘いのかな?」
リンダは階段を下りると、学食へと向かった。

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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土