2ntブログ

あなたの燃える手で

Welcome to my blog

こちら夢の森探偵社


「最後の部屋には、この部屋から直接行くことが出来る」
今度は廊下に出ることなく隣室に移った。そこは一番狭い6畳の部屋だった。
部屋にはダブルベッドが置かれ、他の部屋に比べ収納が充実している。
「この部屋は……」
「寝室ですよね」
「そう、ここはいわば愛の巣。共に眠り、共に朝を迎える神聖なる場所。漆黒
の闇に一条の光刺すその時まで、2人で愛し合うのだリンダ」
「 今日イケそうな気が~♪ しますか……? もしかして」
その時、エマがクルリと回りリンダに向き直った。
「おお、そうだリンダ。君に渡すモノがある」
「はい? 何ですか」
エマは事務室に戻ると、リンダの机の引き出しから小さな箱を取り出し、それ
をリンダに渡した。
「君の名刺だ、リンダ」
「あ、ありがとうございます。嬉しい、あたしの、あたしの名刺……」
目頭が熱くなるのを憶えながら、リンダは箱から名刺を1枚取り上げた。

>夢の森探偵社
>林田 鈴 RIN HAYASHIDA(探偵見習い)
>所在地:夢の森グランドハイツ910号室
>TEL:~ FAX:~

「あのう、エマさん。見習いって、コレッ。見習いって……」
「リンダ。君はまだまだ青い。そう、青い果実のようなモノなのだよ」
「だからって、名刺に……、普通書きませんよぉ~」
この涙を返してくれっ! と言いそうになったとき、リンダの後ろでFAXがピーッと鳴り、初めての着信を告げた。
「おお、聞いたかリンダ。迷える子羊たちの産声だ」
FAXはジージーと唸りながら、用紙を吐き出し始めた。
「エマさん、仕事は明日からじゃなかったでしたっけ?」
「広告や宣伝はそれなりにしておいたからな……。それが功を奏したのだよ」
「そうなんだ……」
「先手必勝。先んじればなんとやらだ」
「そういうトコロは抜け目ないですね」
エマは用紙を引き出すと片手を腰に当て、それを読み始めた。
「ふふふっ、いいだろう。我が初陣を飾るにふさわしい内容だ。さぁ、行くぞ
リンダ。出撃だっ。城門を開けろーっ」
エマは用紙を掴んだ指を1本伸ばし、手を勢いよく前に伸ばした。
「えっ? 今何時だと思ってるんですか。それにホントに誰です? それ」


「あっ、奈美先生あそこです。あの角のにある水色の……」
エリは助手席から腕を伸ばし、水色のアパートを指差した。
「可愛いアパートね。ペンションみたい」
「見た目は良いんですけど、中は狭いんです。先生チョットお茶でも飲んでい
きませんか?」
「あら? いいの? こんな時間に」
「だって、明日休みですし」
「そうねぇ、それじゃチョットだけお邪魔しようかしら。でも車……」
「裏に駐車場があります」
車はアパートを回り込み、舗装されていない駐車場へと乗り入れた。途端に車
体が揺れ、タイヤがボツボツとくぐもった音を立てる。
そこには既に20台ほどの車が並び、空いている駐車スペースはない。
奈美は辺りを見回すと、入口脇の柵ギリギリに車を寄せた。
「ここでいっか。ねっ、エ~リちゃん」
「はい」
奈美のその言い方に、エリは屈託のない笑顔で応えた。

Comments 0

Leave a reply

About this site
女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
About me
誠に恐縮ですが、不適切と思われるコメント・トラックバック、または商業サイトは、削除させていただくことがあります。

更新日:日・水・土