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あなたの燃える手で

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クレオパトラの指先


「さぁ、ココよ。このマンションの1010号室。そこの入口から入るとすぐにエレベーターがあるわ」
「1010号室、はい、わかりました」
「いってらっしゃい、マリア。しっかり疲れを取ってくるのよ」
「はい、いってきます」
マリアは麗子の白いBMBから降りた。

ヨーロッパ調の外観、椰子のような葉を持った大きな植物。それらを横に見ながらエントランスを歩くと、麗子に言われた入口からマンションに入った。
そしてそこにあるエレベーターに乗り込むと、最上階のボタンを押した。
エレベーターは音もなく、マリアを10階へと運んだ。

1010号室。そこはエレベーターから一番遠い部屋だった。
10階の通路は風通しが良く、思ったほどの暑さはない。
マリアは1010号室の前に立つと、チャイムを押そうと腕を伸ばした。
するとその前に鍵が開く音し、静かにドアが開いた。
「いらっしゃいませ。氷見川様から承っております」
そこには、麗子とさほど年の変わらぬ女性が立っていた。軽いウェーブの掛かったセミロングの髪に、ブラウンフレームのメガネが似合っている。
「どうぞ、お入り下さい」
メガネの奥の瞳が優しく微笑む。
「あっ、はい」
マリアが一歩踏み込むと後ろでドアが締まり、応対した女性が鍵を掛けた。
「こちらにどうぞ」
マリアは案内をする彼女の後を歩いた。
淡いピンクの白衣に包んだグラマラスな全身。その半袖の白衣と短いスカートからは、白い肌の綺麗な手足がスラリと伸びていた。

マリアは一番奥の部屋に通された。
8畳ほどの部屋の中央に、マリアの腰の高さほどの細長い施術台があり、隅には大きな観葉植物が置かれ、壁の棚にはカラフルなプラスチックボトルが並んでいる。
室内はエアコンが効き、なにか甘い花のような香りが漂っていた。
「いらっしゃいませ。暑かったでしょう? この店のオーナーをしております、白石ゆかりと申します」
そう言うと、ゆかりは丁寧に頭を下げた。
「あっ、マリアです。よろしくお願いします」
改めて見る彼女は背が高く、その顔はとても綺麗でモデルのようだった。
「会いたかったわマリアちゃん。麗子さんから常々お話は伺っておりましてよ。今日はマリアをよろしくとのコトでしたわ」
「えっ、麗子様のコト、知ってるんですか?」
「ええ、勿論。この業界で氷見川麗子の名前を知らない人なんて、一人もおりませんわ」
いつも身近にいるせいか、マリアには今一つピンと来ない。
「前に1度……、もう1年も前になりますけど、ティーパーティーにもお誘いいただきましたわ」
「あっ、あの時の……」
あの日は確か良子ママもパーティーに呼ばれてて、あたしが響子のバイトを手伝ったんだっけ……。
「それでは、規則でシャワーを浴びて頂くことになっておりますので、服を」
「あっ、はい」
マリアはなんの疑問もなく、シャツのボタンを外していった。
「服はコチラでお預かりしますわ」
マリアは脱いだシャツやスカートを彼女に手渡した。

ブラウンフレームの奥の目が、下着を脱いでいくマリアを見つめている。
その目は女性らしいとても優しい目だが、どこか妖しげな光を湛えていた。

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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土