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あなたの燃える手で

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クレオパトラの指先


マリアはなんとなく変わった雰囲気に目を開けた。
額のおしぼりを押さえたママの唇が、もうスグ目の前まで来ている。
「あっ、もうママさんったらぁ」
「夏バテのマリアちゃんも可愛いわぁ~。何だか目がトロンとしちゃって」
「えっ? 目が? そ、そうですか」
「うん。そんな目されると、また可愛がってあげたくなっちゃうわぁ。何なら
麗子と2人で、またじっくりと……、ねっ、マリアちゃん」
「そんな、ママさん」
「あらっ、イイじゃない。マリアちゃんだって嫌いじゃないクセにぃ」
ママの手が、マリアの太ももに乗った。
「そうでしょう? そうなんでしょう? マリアちゃん……」
その時、店のドアが開き1人の客が入ってきた。
「それじゃまたね、マリアちゃん。麗子によろしく」
「は、はい」
ママはトレイを持つと、客の元へと歩いていった。

マリアはミルクとガムシロをストローで掻き回した。氷がグラスを叩き、コーヒーがカフェオレ色に変わっていく。
そしてストローを咥えると、アイスコーヒーを一口吸い上げた。
「はぁ~美味しい。麗子によろしくって。そんなコト麗子様に言ったら、ホントにそうなっちゃうんだから」
マリアの脳裏に2人に責められた記憶が蘇った。ベッドで縛られ動けないマリアを、麗子と良子がジワジワと責め嬲っている。
しかしそんな記憶も、朦朧とする頭の中では霧の向こうに消えていく。
早くも汗を掻き始めたグラスの水滴が、マリアの細い指先を濡らした。


マリアは「アマデウス」を出ると、日差しから逃げるように家に向かった。
マリアの家、そこはエステ業界のNo1シェアを誇る「ブルームーン」の女社長、氷見川麗子の邸宅だった。
駅前から「夢の森商店街」を抜けると、住宅地が広がっている。その住宅地の中でも一番大きく、一際広いのがこの邸宅だった。
マリアはそこでメイドをしている。
「アマデウス」のママ良子が、バイトの響子と関係を持っているように、女主人の麗子もまたマリアと関係を持っている。

「ただいまぁ~、あれっ?」
誰もいないはずの玄関に、麗子の靴が脱いである。
マリアは麗子の靴の隣で自分の靴を脱いだ。
「お帰りなさい、マリア。お買い物?」
そう言いながら、麗子が奥から姿を見せた。四十路になったとは思えないライ
ンを保った体に艶やかな肌は、さすがエステ会社の社長と言うべきか。
緩やかに波打った栗毛色の髪は、フワリとその背中と大きな胸に掛かり、濡れ
た大きな瞳と妖しい唇は、微笑みを湛えてマリアを見つめていた。

「麗子様、お帰りだったんですか?」
「チョット予定が変わってね。あたしも今帰って来たトコロよ」
「そうだったんですか」
「ねぇマリア、あなた疲れてるんじゃない?」
「いえ、そんなコトないです」
「そう? 何だか目がトロンとしてるわよ」
「そう言えばさっき、ママさんにもそんなこと言われました」
「ママって、良子?」
「はい、帰りにアマデウスに寄ってきたんですけど、その時ママさんにも何だか目がトロンとしてるって……、響子は夏バテだって言うし」
「そうかもよマリア。この暑さだもん、きっと疲れが溜まってるのよ」
「うぅ~ん……、自分ではあんまりそんな感じは……」
「ねぇ、1度マッサージでも行ってみたら」
「マッサージですかぁ?」
「イイお店知ってるのよ。ねっ、予約してあげるから。シャワー浴びたら
いってらっしゃい。たまにはイイものよ。疲れも取れるし」

麗子はバスルームへマリアを追いやると2階へ上がった。そして自分の部屋に
入るとドアを閉め、バッグから携帯を取り出した。
「クレオパトラ。ココはあなたにピッタリのお店よ、マリア」
そうつぶやくと、その店の番号を押した。

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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土