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あなたの燃える手で

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クレオパトラの指先

2010:夏休みスペシャル





クレオパトラの




プロローグ
2010年、夏。
日本列島は太平洋高気圧にスッポリと飲み込まれていた。
連日35度をこえる猛暑が、もう5日も続いている。
そしてその容赦ない灼熱の刃は、ここ『夢の森』の街にも向けられていた。

この日、マリアは隣町での買い物を済ますと「夢の森駅」に降り立った。
改札を抜け、駅前のロータリーを迂回するように歩くと、幹線道路の横断歩道
の信号に捕まった。
ノースリーブの白いワンピース。右手に袋をぶら下げ、左手に白い日傘を差すマリアにも、太陽は得意げにそのナイフのような日差しを投げつけた。



「ふわぁ~暑い、暑すぎる。チョット一休みしていこうかな」
信号の変わった横断歩道を渡ると、マリアは「夢の森商店街」の入口にある「カフェ・アマデウス」に足を踏み入れた。
「はぁ~、涼しいぃ~」
店内には2~3人の客が、陽炎の立つ横断歩道を見ている。
マリアの後ろでドアが閉まると、ミニスカートから綺麗な脚を見せた、親友の響子が声を掛けてきた。
「いらっしゃいませ~って、なんだマリアかぁ~」

「あぁ響子、なにか、なにか冷たいモノをあたしに……くれまいか」
マリアはヘタり込むように壁際のテーブルに座ると、日傘と袋を隣に置いた。薄手の白イワンピースが、不快に背中にまとわりついてくる。
「もう、死にそうじゃないマリア。大丈夫?」
「うん、ダメかも……」
肩を隠す黒いストレートの髪を首元からかき上げた。髪の隙間に店内の冷気が
滑り込んでくるのが判る。
「響子、大学はもう夏休み?」
マリアはテーブルのメニューを団扇代わりに、パタパタと仰いだ。
「うん、もうとっくに夏休みだよ」

響子は女子大生で、もう随分長い間この店でバイトをしている。
それはこの店のオーナーの良子が、響子のことを気に入っているからだ。
気に入っているというのは、勿論 "そういう関係" という意味である。 

「そっかぁ、イイなぁ~。夏休み」
「アイスコーヒーでいい? マリア」
「うん、それで……、お願い、しますぅ~」
「もう、マリアったら夏バテ?」
「そんなつもりは、ないんだけど……、チョットフラフラするかも」
メニューで顔に風を送りながら、マリアは厨房に向かう響子を見送った。

「ママ、マリアが来たよ」
ママが響子に振り返った。
「あらホント? それじゃアイスコーヒー、あたしが淹れて持っていくわ」
日本人離れしたママの顔がニヤリと微笑んだ。それは妖艶ともいえる笑顔だ。
「ママはあたしとマリア、どっちがイイの?」
響子はママに体をすり寄せ、片手でママのお尻を撫でた。
「響子ちゃんはとっても上手だし、マリアちゃんはマリアちゃんで虐め甲斐があるし……、どっちとも言えないわねぇ」
ママは少し小声で言うと、アイスコーヒーをグラスに注いだ。

トレイに冷たいおしぼりとアイスコーヒーのグラスを載せて、ママがマリアの
トコロに来た。
「いらっしゃい、マリアちゃん。夏バテだって? 大丈夫?」
ママはグラスをテーブルに置くと、観葉植物の陰に隠れるようにマリアの隣に
座った。
「は、はい、大丈夫ですけど……、もう暑くて死にそうです」
「そうよねぇ、チョット異常よねぇこの暑さは。それに今は1番暑い時間帯だ
もの」
ママはおしぼりを手に取ると、それをマリアの額に乗せ上から押さえた。
「はぁ~、冷たくて気持ちイイですぅ」
マリアはその気持ちよさに目を閉じた。
「そうでしょう?」
心なしかママの声が小声になった。

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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土