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あなたの燃える手で

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ちゃんと抱いて

15
里美さんがベッドから起き上がり、ふと時計を見た。
「もうこんな時間。そろそろ帰ろうか? お腹も空いたし」
あたし達は一緒にシャワーを浴びると、手早く着替えを済ませた。
最後に里美さんがあの花の香りのコロンを付けた。
それはピンク色の可愛い小瓶に入っていた。
「舞ちゃんも付ける?」
「うん」
あたし達は同じ香りを纏うと、一緒に部屋を後にした。

外はまだチョット蒸し暑かった。車に乗り込み、海沿いの国道に出た。

「舞ちゃん、お腹空かない? 何か食べていく?」
「そうだ、レストラン探してたんだ」
あたし達はまたレストラン探しを始めた。
「チョット遅くなっちゃたね。どうする?」
「うん、あたし夕飯食べてくるって言っちゃったし、里美さんとなら遅くなっても大丈夫だよ」
「ねぇ、あそこにファミレスがあるんだけど」
「あっ、本当だ。あそこでいいよ。あそこにしようよ」
あたしはファミレスの看板を見つめる里美の横顔を見つめていた。
あまり見かけないファミレス、その駐車場は割と空いていた。
「空いてるね。高いのかな?」
「そうねぇ、それとも美味しくないのか……」
「ここでいい?」
「いいよ、高そうだけど」
「それじゃ入るわよ。美味しくなさそうだけど」
車はゆっくりと駐車場に入った。

あたし達は窓際の、海の見えるテーブルに向かい合って座った。
でも海はもう真っ暗で、何も見えなかった。
里美さんがメニューを手に取った。
「何にする? 舞ちゃん」
里美さんがあたしにメニューを差し出すようにして見せた。
「うぅ~んとぉ、まぐろたたき丼にしようかなぁ?」
「へぇ~、お肉とか食べないの?」
「だって太っちゃうから……」
「うん、わかるわかる。カロリーとか気にするよね、やっぱり」
「里美さんも?」
「そりゃそうよ。あたしはねぇ……」
里美さんはそう言いながら、メニューをパラパラとめくり始めた。
「コレにしようかなぁ、ビーフハンバーグステーキとライス」
「えっ?」
「ビーフハンバーグステーキとライス」

それって結構カロリー高めじゃないですか、隊長。
最後は自爆ですか。

「それって……」
あたしはメニュー名の横にあるカロリー数値を見た。
「カロリー……、702Kcalだって」
「えっ? あっそう、まっ、今日のトコロは良しするか」

店員がオーダーを取りに来た。
あたしはメニューを片手に注文した。
「まぐろたたき丼と、ビーフハンバーグステーキとライス702Kcal」
「ソコは言わなくてイイから舞ちゃん」
「あっ、つい……」

エピローグ
そして注文したモノが運ばれてきた。
「いただきまーす」
二人で声を揃えて言った。割り箸を割るタイミングまで同じだった。
「ねぇ、舞ちゃんのマグロ丼は何カロリー?」
「えっ? コレ? コレは……」
里美さんがここぞとばかりにメニューを見た。
「あっ、652Kcalだって。なぁ~だ、あんまり変わらないじゃん」
「えっ、そうかなぁ~」
「マグロ美味しそうね、ちょっと頂戴」
「うん」
里美さんの割り箸があたしの前に伸びてきた。
「美味しいね、このマグロ」

そう言って里美さんが笑った。
わたしはこの笑顔が大好きだ。

「あたしもコレにすれば良かったかなぁ。もう一つ貰ってもいい?」

そんなに食べたらカロリー上乗せです。隊長。

「あぁー本当に美味しい」

そう言ってまた笑う。

里美さんは笑顔がとても素敵だ。
それは間違いない。


ーENDー

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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土