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あなたの燃える手で

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W inter Angel


白いバスローブ姿で髪を拭きながら、麗子が食堂に入ってゆくと、そこには空を見上げるマリアの後姿があった。もうすぐあそこに帰る。帰らなければならない。マリアの背中がそんなことを言っているように麗子には見えた。
振り返ったマリアの顔は、心持ち悲しげにも映り、夢の中で涙を流したマリアの顔を麗子は思い出した。
「おはようございます。麗子様」
「おはよう。マリア」
「麗子様ぁ」
「なぁに?」
麗子は夢と現実がシンクロしてしまい、マリアが天に帰ると言い出すのではないかと思い、不安な気持ちで次の言葉を待った。
「スープ冷めちゃいますよ」
「えっ?スープ?」
「スープですよ。麗子様、いつもよりお風呂長いんですもん」
「ああ、そう?そうだった?」
「もし冷めてたらもう一度暖め直しますから。言って下さいね」
「ええ、わかったわ。ねぇ、マリア?今日はイブよね?」
「はい、そうですけど?」
「あなた、何か予定は?・・・あるの?」
「はい?予定ですかぁ。いえ、別に。いつもイブは麗子様と一緒じゃないですかぁ。もう。麗子様ったらぁ」
「そうよねっ、そうだったわね。ごめんなさい。変なこと聞いちゃって」
「いえっ、別に変な事じゃないと思いますけど。麗子様。どうしたんですかぁ?何か変ですよ」
「ううん。なんでもないのよ。なんでも」
結局マリアに聴いてしまった。あの夢の記憶の呪縛から逃れるには、マリア自身から今の答えを聞くしかなかった。わたしったら・・・何?
そんなにマリアがいなくなるのが怖いの?あの子の代わりなら・・・。
あの子がいなくたって。あの子の、マリアの代わりなんて・・・。
マリアの・・・代わり・・・なんて・・・。
「麗子様ぁ。スープ冷めてませんでしたかぁ」
「えっ?ええ。大丈夫。冷めてなかったわ。ありがとう、マリア」

その夜。食卓には赤い3本のキャンドルが灯り、中央に置かれたローストチキンを飴色に照らしていた。麗子は白いシャツに細身のダークグリーンのタイをきりっと締め、その向かい合った席に座ったマリアは、白と黒のメイド服にこれもまた細身の黒い蝶タイを締めていた。
2人の前には金色のシャンパンが小さな真珠の泡を踊らせている。
隣のリビングに飾った巨大なツリーを見たときの麗子の顔。
「まぁ、まるでエッフェル塔ね。マリア」
その時のことを思い出すとマリアに顔に笑みが溢れた。
「さぁ、乾杯しましょう、マリア」
「はい。麗子様」
二人は細いグラスの足を摘むと、胸元まで持ち上げた。
「メリークリスマス。そして誕生日おめでとうマリア」
麗子がマリアを見つめ、微笑む。
「メリークリスマス。麗子様。ありがとうございます」
クリスタルの触れ合う硬質な澄んだ音が部屋に響いた。
マリアが軽く会釈を返し、微笑み返した。
「さぁ、食べましょう。あたしが取ってあげる」
麗子がローストチキンをナイフとフォークで器用に切り分けていった。
そのチキンをマリアが口に運ぶ。
「コレ、ちょっとパサついてませんか?」
「そうかしら?そんなことないと思うけど」
「そうですか。麗子様がいいなら別にいいですけど。麗子様、あたし昨日『アマデウス』に行ったんですよ。そこでもケーキをご馳走になって」
2人の会話も弾み食事は楽しく進んでいった。マリアは2本目のシャンパンを開けた。

時計の針が午後8時を指す頃、食事を終えた麗子はリビングのソファにその身を委ねた。
「マリア、こっちにいらっしゃい」
「でも、後片付けが・・・」
「いいのよ。明日は休みを取ってあるんだから。いらっしゃいマリア」
リビングに来たマリアは麗子の横に腰掛けた。
「こっち向いて」
そして麗子は振り向きざまのマリアの唇を奪った。メイド服ごとマリアをきつく抱きしめて。
「あふぅ~ん、麗子様ぁ~ん」
麗子の舌はマリアの唇を割り開いた。2枚の熱い舌がマリアの口の中で絡み、お互いを貪るように吸い合いシャブリ合った。
暖かな部屋の中、服を1枚ずつ脱がし合い、マリアは頭のカチューシャだけを残し、全裸になった麗子に押し倒されるようにソファに倒れ込んだ。
マリアは両腕を頭の上に投げ出し、麗子はその二の腕を押さえ込むようにマリアにのし掛かり、胸の敏感な果実の1つを口に含んだ。

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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土