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あなたの燃える手で

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TRI△ NGLE

△12
深夜の『MELLOW BLUE』に、テナーサックスの音色が流れていた。
Lが桜子にシンガポールスリングを作り、彼女の前に押し出した。
「はい、あたしからの奢りよ」
「ありがとう」
桜子がグラスを引き寄せながら、Lを上目遣いで見た。
「よかった? 彼女、上手なんでしょ」
「うん、上手だよ。チョットMっ気があるかも。そんな感じがした」
「へぇ~そうなんだ。それじゃ今度、虐めてあげれば」
「えぇ……。どっちかって言うとあたしがLに……」
Lは黙ったまま、人形のような目で桜子を見つめた。
「だってホントだもん」
桜子はグラスを掴み、カクテルを勢いよく飲んだ。
「今度、明美さんのこと縛ってみれば……。面白そうじゃない」
「ええぇ、そうかなぁ」
「興味ない? そういうの。あたしだったらやってみるなぁ。相手がそういうの好きそうだったら。縄なら用意してあげるから。それからオモチャも……」
「でも、あたしに出来るかなぁ? そんなこと」
「やったら意外とハマるかもよ。桜子。誰でも隠れた顔があるんだから。もしかしたら明美さんも好きかもよ」
「隠れた顔かぁ……それは、まぁ。そうかもしれないけど……」
桜子は、明美がアナルに感じていたことを思い出していた。
「もし、それが彼女のツボにはまれば、ますます桜子のことが好きになるでしょうけどね」
桜子は黙ってLを見た。Lはそれを蕩けるような笑みで微笑み返した。
「もう1杯飲む? 桜子……」
「Lも付き合ってくれる?」
「いいわよ」
「それじゃ、Vodka Martini,Shaken,not stirred」
「ウォッカ マティーニをステアでなくシェイクで……だと思った」

その週末、明美は桜子に誘われこの間の部屋に来ていた。
「ねぇ、明美。今夜はあたしが責めてあげようか」
「えっ?」
窓から見える夜景は、今夜も月に照らされ青白く染まっている。
「責められるの嫌い?」
「ううん。そんなことないわよ。むしろ好きなくらい」
「ホント? うれしい。じゃ……縛ってもいい? あ・け・み」
ベッドの横には、桜子の持ってきた大きなバッグが置いてあった。
「でもちょっとビックリ。桜子がそんなこと言うなんて……」
「そう? もしかしたら好きかなぁ~と思って」

会話の隙間を、バスタブに溜まるお湯の音が埋めていった。

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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土