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あなたの燃える手で

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TRI△ NGLE

△10
18階のボタンを押したエレベーターが上昇していく。今日の明美は仕事用のグレーのジャケットに、右手にはセカンドバッグを持っている。
18階につくと扉は音もなく開き、『MELLOW BLUE』までの通路が、目の前に伸びていた。

「いらっしゃいませ。あら、いままでお仕事だったの?」
「ええ、そうなの。ずっと残業よ」
「お疲れ様。今日も来てるわよ、明美さん」
そう言ってLが視線を移動させた先に、桜子が座っていた。教えられるまでもなく、いつものカウンターの一番奥の席だった。
「明美さん」
「こんばんは、桜子」
明美はセカンドバッグを隣の椅子に置いた。
「何にする? 明美さん」
「あれ? 桜子、今夜はウォッカマティーニじゃないのね」
桜子の前には、グラスに半分ほどの透明なカクテルが置かれていた。
「うん、これジンフィズ」
「ふぅ~ん、ジンフィズかぁ。それじゃあたしはシンガポールスリング」
「あぁ、あたしもそれ好き。オイシイよね」
桜子はグラスを掴み、ジンフィズを一気に飲み干した。
明美の横で氷の転がる音が響いた。
「L、あたしもシンガポールスリング頂戴」
「大丈夫? 桜子。そんな飲み方して……」
「平気よ。まだ1杯目だし。ねっ、明美さん」
明美が返答に困っていると、桜子がポケットからルームキーを出して明美に見せた。
「後で行こう……。ねっ」
「そうね」
明美の唇が微笑みを浮かべ、優しい光を湛えた瞳は桜子をじっと見つめた。

二人はエレベーターで一つ下の階に降りると、静かな通路を歩いていった。ルームキーを持っている桜子が、わずかに先を歩いている。
「この間と同じ部屋よ」
「そう、今日は一緒にお風呂に入りましょ。あたし仕事帰りだから」
「うん。わかった」
その声を背中で聞きながら、桜子はルームキーを鍵穴に差し込んだ。

部屋に入ると明美はバスタブに行きお湯を張り、そして桜子と一緒に服を脱いだ。そして全裸になると抱き合ってキスをした。
「さっ、お風呂入ろう。桜子」
「うん。あたしが洗ってあげる明美」
桜子がコックを捻ると、バスルームは暖かな湯気に包まれていった。

窓の外には、無数の星が音もなく瞬いていた。

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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土