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あなたの燃える手で

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花散る午後


水密流の師範、花村志帆の気配を背中に感じ奈津子は振り向いた。
「あら、どうぞお座りになって」
「はい。失礼します」
奈津子はダウンを畳の上に置いた。ダウンの下は白いセーターで、首元から青いシャツの襟が覗いている。大きな胸から腰にかけてのくびれたラインが際立ち、膝上のスカートから黒いパンストの脚が綺麗なラインを見せていた。
奈津子が座布団に正座をすると、その前に湯気の立ちのぼる湯飲みと和菓子が置かれた。奈津子とテーブルを挟むように志帆が座った。
「初めまして、川村奈津子です」
「どうも始めまして。ここの師範をしております、花村志帆です。川村さんは生け花は初めてですの?」
向かい合った志帆の目がネットリと奈津子を見た。その視線に奈津子はただならぬ温度を感じ取った。
「はい。まったく経験は……」
「そうですか。今日はお稽古日ではないのでが、良ければ少し生けてみませんか? ちょうどいいお花がありますから」
「えっ、でも、やるといっても……」
「大丈夫ですよ。基本的なことだけをするだけですから」
「そうですか。それなら、やってみようかしら」
そして奈津子の前に花器や道具、そして花が用意された。
最初に教わったのは花の切り方だった。志帆は奈津子に花と鋏を持たせると、奈津子の後ろに回った。
「茎の対して直角に切るようにして下さいね。斜めに切ると剣山に刺したときにグラグラしますから」
そう言いながら奈津子の両手を後から握り、花とハサミの角度を合わせた。柔らかく長い志帆の指が、奈津子の手を包み込んでいる。
「はい」
「これくらい太い茎だと、もう少し鋏の根元で切るようにしないと……」
志帆は奈津子の後でしゃがむと、顔を奈津子の首筋に近づけた。そして奈津子の手を握ったまま、その手を胸元に引きつけた。
「切る位置は生ける器によって変わるんだけど……」
志帆の手が鋏の位置を変える度に、奈津子の白いセーターの膨らみを擦り、説明する言葉は熱い吐息となって首筋に掛かった。
「セーターの袖を捲りましょうか。白いから汚れるといけないでしょう」
「あっ、そうですね」
奈津子が白いセーターを肘まで捲り上げると、艶のある滑らかな腕が現れた。
「あらっ、綺麗な腕ねぇ。きめ細かな肌で、スベスベなんでしょうねぇ」
「いえっ、そんな。あたしなんて」
「どうして? こんなに綺麗なのに。ほらっ、やっぱりスベスベじゃない」
(あぁ、見られている。同性のこの人に)
奈津子の中で、仮面の女たちに犯され、恥ずかしいところを見られた、あのホテルでの妄想が甦った。

奈津子の中で、あの淫らな種が芽を出そうとしていた。

Comments 2

マロ  

妖しい雰囲気ですねー。(笑)
どんな展開になるのか楽しみです。

2008/01/20 (Sun) 22:51 | EDIT | REPLY |   
蛍月  
マルさんこんばんは

もう奈津子は無事には帰れないでしょう。

さぁ、ここから志帆がどう出るか・・・。
お楽しみに!

2008/01/21 (Mon) 19:51 | EDIT | REPLY |   

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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土