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あなたの燃える手で

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バラ屋敷の人々

 第五章:クララと牡丹とシャーロット そしてデイジーとミラ
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「はぁー、楽しかったわ、クリスマスパーティー」
女主人のシャーロットは、椅子から滑り落ちそうになるほど浅く腰掛けた。
「まぁ、奥様……、そんな格好で」
あまりの無作法に、メイドのクララが思わず女主人をたしなめる。
「だってぇ~、もうお腹がいっぱいで」
「だからって奥様……」
「イイじゃない。みんな家族みたいなものなんだからぁ~」
苦しげに天井を見上げるシャーロットの目に、壁の時計が目に入った。
「あらっ、もうすぐ明日になっちゃうのね」
その言葉に、娘のデイジーも時計を見上げた。
「ホントだぁ、あたしもう寝るね」
彼女は一人椅子から立ち上がった。
「あらっ、イイじゃないデイジー、今夜くらい」
「だってもう眠いもん」
「奥様、デイジーはあたしが部屋まで連れて行きますから」
今日のパーティーに呼ばれていた家庭教師のミラは、立ち上がるとデイジー
の横に寄り添った。
「そう、それじゃお願いね、ミラ。客間の部屋も用意してあるから、そのま
まソコで寝てもいいのよ」
「ありがとうございます。それではデイジーを寝かしつけたら、あたしもそ
ちらで……」
「そうね、そうするといいわ」
デイジーとミラはそのまま並んでリビングを出て行った。

「さて、あたしたちはどうする? 牡丹、クララ」
「どうしましょう」
「まだ続けるにもぉ~……」
そう言って、クララが改めてテーブルの上を見渡した。
しかし牡丹の作ってくれた料理はあらかた片付き、ほとんどの皿が空なっ
ていた。
「この辺で "お開き" ですかね」
「牡丹が料理上手だから、残っているのはワインが少々だけね」
「お気に召されたようで、よかったです」
「それじゃもう一度乾杯して、あたしたちも寝ましょう……」
「そうですね、そうしましょうか」
「片付けは明日でイイですよね」
「もちろんよ。あたしも手伝うわ」

クララが三つのグラスに残り少ないワインを注いだ。ボトルはもうコレで終
わりとばかりに、急角度に傾いていく。
「申し訳ありません。もうコレしかないです」
グラスが三人の手に渡ると、乾杯のためにグラス同士の距離を縮まった。
「それじゃ、メリークリスマぁ~ス!」
 "カチン" という心地よい硬質な音と共に、集まったグラスがそれぞれの唇
へと戻っていく。
三人は、やや少ないワインを一気に飲み干した。
「それじゃ、あたしも寝るわね」
そう言って立ち上がったシャーロットの足元が、 "フラリ" と揺らいだ
「あっ、奥様、あたしが寝室までお送りします」
慌てて立ち上がった牡丹が、シャーロットの二の腕を掴んだ。
「クララ、あなたも手伝って……」
「はい」
その時の二人の怪しい目配せに、シャーロットが気が付くハズもない。

牡丹とクララはシャーロットを左右から支え、彼女の寝室へと向かった。


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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土