2ntブログ

あなたの燃える手で

Welcome to my blog

最終上映

3 最終話
詩織はその目が気になった。出来れば隣の人と何か話をしているように見えて欲しかったが、年配女性から見れば、隣の彼女の異常に肩の入った体勢は異様に映ったかもしれなかった。
(あぁ、見られてる。私達の行為に気が付いたのかもしれない)
詩織の心に不安が広がっていった。しかしその不安の上から快感が霧のように広がり、詩織の心を白く覆っていった。
「感じる?」
「ええっ。あぁ、はぁ、はぁ」
隣の彼女が囁く声に、荒くなっていく呼吸の中で詩織は答えた。
もう詩織にこの体を止めることは出来なかった。しなやかな指によってもたらされる快感は、完全に詩織を飲み込んでいた。
視界の隅にこっちを伺う年配女性が映っている。2人の行為に気が付いているのだろう。明らかに映画を見ている様子ではなかった。
「あそこのチョットきれいなおばさん、気が付いてるみたいよ。私達のこと」
「いやっ。恥ずかしぃ」
「大丈夫よ。何も出来やしないわ」
「でも……」
「それとも止める。止めてもいいの?」
「いやっ、止めないで。お願い」
「そうでしょう? もっと感じて……ほらっ」
彼女の指は詩織を逝かせるように責め立ててきた。
「あぁっん、んんっ」
詩織は咄嗟にポケットからハンカチを出して口に当てた。ハンカチを当てると少し声を出すことが出来た。それでもくぐもった声がわずかに漏れていた。
「んんっ、くふぅ~あふっ、あふっ、うぅぅ~ん」
隣の彼女の指は敏感な紅い真珠の皮を剥き、直に指先を当てて擦ってきた。
ハンカチから詩織の喘ぎが絶え間なく漏れ続けた。
「んんっ、んんっ、あぁん~んんっ、んんっ、あぁん~、くふっ、くふっ」
もう年配女性のことなどどうでも良かった。詩織は自ら脚を広げ、腰を浮かし快感を貪った。映画の主人公になったように、この時を味わっていたかった。
「逝きたいの?」
彼女の声が、詩織の耳に映画のセリフのように聞こえてくる。
詩織はハンカチを咥えたまま頷いた。
「いいの? あのおばさん……見てるわよ」
「逝かせて……」
「そう、いいわ。それじゃ逝かせてあげる」
彼女はもう1度紅い真珠を剥き上げ、擦り上げるスピードを徐々に増した。
詩織の快感が急角度で上昇していく。指はより激しく動き、詩織にとどめを刺していく。ハンカチから聞こえる詩織の声のトーンが上がっていった。
「んんっ、んんっ、あぁん。あぁ逝く逝くっ、あぁ、逝くぅぅ~あぁぁ」
「逝きそうねぇ? ほぅ~らっ、逝きそう、逝きそう。見てるわよ。ほらっ、あのおばさんがこっち見てる。でも逝っちゃうわねぇ~。見てるのにぃ」
詩織の目にも、こっちを横目で見ている年配女性が映った。しかしもう止めることは出来なかった。その目に見つめられたまま、詩織は絶頂に達した。

それから数分後、スクリーンにエンドロールが流れ出した。
「それじゃ、あたし帰るわね。またどこかで会えるといいわね」
「ええっ、またどこかでね。さようなら」
彼女は席を立ち、詩織の前を横切ると表へ出ていった。それに続くように年配女性も席を立った。詩織1人だけが場内が明るくなるまで座っていた。

エピローグ
詩織は映画館を後にすると、商店街の表通りに出た。
最終上映の終わったこの時間、店のシャターは降り人気はほとんどない。
真っ直ぐな商店街の向こうに、明るい駅前の幹線道路が見えた。
駅に向かう数人の人の中に、先ほどの年配女性と、その後ろを歩くキャップをかぶった女性の後姿が見えた。遠目にもわかる綺麗な脚だった。
年配女性は幹線道路近くのカフェに入った。するとキャップをかぶった女性もそのカフェに入った。
「あらっ? あそこはまだやっているのかしら?」
店の前まで来ると「営業中」の札が出ている。詩織はドアを開け中に入った。
「いらっしゃいませ。どうぞ」
妖艶な顔のママが詩織を迎えた。席に着くとミニスカートから綺麗な脚を覗かせたボーイッシュな彼女が、詩織にメニューを持ってやって来た。
「ええっと、ホットケーキとコーヒーを……」
「はい。ホットケーキとコーヒー。シロップ多めでお持ちしますね……。どうぞごゆっくり。今夜は遅くまでやってますから」

詩織は店内を見回したが不思議なことに、年配女性とキャップをかぶった綺麗な脚の若い女性の姿は、何処にもいなかった。


            ーENDー

Comments 2

マロ  

なるほどー。
あの2人だったんですね(笑)
やられました!
もうやりたい放題な2人ですね。
でも、凄いドキドキしました!

2007/11/15 (Thu) 23:56 | EDIT | REPLY |   
蛍月  
マロさんコメントありがとうございます

そう、あの2人だったんです。
途中でネタバレしないか、こっちもドキドキでした(笑)
(*^_^*)

次はいよいよ、クリスマススペシシャルです。
今回は ”今までにないムード” に包まれていると思います。
お楽しみに!

2007/11/16 (Fri) 06:22 | EDIT | REPLY |   

Leave a reply

About this site
女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
About me
誠に恐縮ですが、不適切と思われるコメント・トラックバック、または商業サイトは、削除させていただくことがあります。

更新日:日・水・土