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あなたの燃える手で

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ミセスNに伝言

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「あなたがどっちを選ぶかわからない。でももしも、あたしを選んでくれた
なら、その時はまたこの店に来て……。そして菜月さんを選ぶなら、もうコ
コには来ないで……」

ママからの伝言を胸に、奈々はタクシーに乗り込んだ。
「ねぇ、菜月さん。今日はこのまま帰るわ。今日は主人の帰りが早いかもし
れないから」
「あらっ、そう、残念ねぇ。今夜は楽しめるかと思ったのに……。そういう
ことは早く言ってよね」
「ごめんなさい……」
「ソレじゃまた今度楽しみましょう」
「そうしてくれると助かるわ」
ポツポツと降り出した雨が、フロントガラスに涙のように流れ落ちた。

菜月は奈々を家の近くまで送くってくれた。
傘のない奈々は、小雨の中そそくさとタクシーを降りる。
「今日はホントにごめんなさい」
振り返ってそう言った奈々の目に、スマホを耳に当てた菜月が映った。
「いいのよ、気にしなくても。それじゃまた……」
「う、うん、また」
奈々が手を小さく振ると、ドアが閉まり始めた。その瞬間。
「あっ、ナオミ? 今からさぁ、この間のホテル……」
そのままドアは閉まり、車が走り出した。

奈々は胸に、ポッカリと穴が空いた。

それから奈々は、アマデウスで一度だけ菜月と会った。アマデウスは前回待
ち合わせをしたカフェだ。
ココを出れば、行き先は前回と同じホテルの予定だ。

「ねぇ、菜月さん。あたしのこと、どう思ってるの?」
「どうって?」
「友達? 恋人? それとも……」
「そうねぇ、友達は友達よ、ただしセックスフレンドって奴かしら‥…」
「セックスフレンド……。そうなんだ。最初からそういうつもりだったの? 
ただスルだけの関係……?」
「それはね、あなたがMだって思ったから。まぁ、実際そうだったワケだけ
ど……。Sはね、いつもMを探してるの。それにあなた可愛いし、あたしの
タイプだったから……」
「探してるって……、じゃあたしの他にも……?」
「えっl? なんで?」
「だってこの間、タクシーでの別れ際……。もちろん、聞く気なんてはなか
ったんだけど……」
「あぁ、聞こえちゃった? あの子もセックスフレンドよ。あなたと同じ」
「……」
「別にどっちが上とか下とかないのよ。あたしにはみぃ~んな可愛いMちゃ
んなんだから」
「菜月……、さん」
「この間の子ね、ナオミっていうんだけどね。鞭で何度も打って、蝋燭もた
っぷり垂らしてやっての。そしたらヒーヒー泣いてたわ。特にミミズ腫れに
なったトコロに垂らした時なんてもう泣き叫んで、楽しかったわぁ。ねぇ、
今度三人で楽しまない?」

それから数分後、奈々は一人で店を出ていた。


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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土