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あなたの燃える手で

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百合の宿 卍庵

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「如何でございましょう? 思い切ってM女をいたぶるというのは……」
そんな女将の申し出に、正直あたしは戸惑いました。

でもそんな戸惑いの中に、 "誰かをいたぶっていいのだ" と、何故かワク
ワクする自分がそこにいるのです。
「でも、あたしにSが……」
「大丈夫でございます。立花様の思いのままに、お好きなように責めれば
いいのです」
「好きに、責める……」
「はい、好きに。苦痛、羞恥、快感、絶頂。何をどう与え奪うか。全て立
花様の胸三寸。道具も色々揃っておりますので、なんなりと申し付けくだ
さい。もちろんプレイ中でも結構でございます」
そう言った女将の目は、まさに獲物を袋小路に追い詰めていく目でした。
「でもあたし、そういったプレイは初めてですし……」
「もしよろしければ、わたくしが立ち会ってレクチャーを」
「えっ? でもぉ……」
戸惑うあたしに、女将は畳み掛けるように言いました。
「これはわたくし個人の申し出でございますから、料金は一切変わりませ
んのでご安心ください。それに」
「それに……?」
「わたくしは何よりも立花様に知っていただきたいのです。ただHをする
だけではない、女同士のもう一つの世界を」
「女同士のもう一つの世界、ですか……」
「はい。女の体を知っているのは女、その女が女を責める。女だからわか
る一番効果的なやり方で。男にはない女の残忍さと粘着質な責め。そこに
生まれると果てしない快感。自分の指先一つで女が苦しみ悶える高揚感と
満足感。それらを心ゆくまで味わい、楽しんでいただきたいのです」
「はぁ……」
「どこをどう責めればどう感じるか。弱いトコロを知った上で、ソコをじ
っくりと、ネチネチと責めいたぶるのは最高でございますよ」

あたしは女将の紡ぐ淫らな言葉の連鎖に、見事に絡めとられていったので
す。そしていつしかわたしは、女将の申し出を承諾していたのです。
「それでは立花様に合った、なにより楽しめる子を……」
女将はスマホを取り出すとボタンを押しました。
「立花様を後悔させるようなことは決して……」
そう言ってから、スマホを耳にあてたのです。
「あたしよ……。今夜八時にヒメユリを、 "百合と柘榴の間" に寄越して
頂戴。それじゃ、お願いね……」
それだけ言うと、女将はスマホを仕舞いました。

そして食事も入浴も済ました夜八時。部屋のドアがノックされたのです。
部屋には女将と浴衣に着替えたあたしがいます。
「お入り」
女将がそう言うとドアが開き、薄桃色の着物を着た小柄な女性が、大きな
バッグを持って入室してきました。

その女性は、 "女の子" と言いたくなる程に若く可愛い人でした。
明るめのベージュにカラーをした髪はクルクルと巻き、目は丸くつぶらで
愛くるしく、唇は桜の花びらのようです。そして少しそばかすのある頬に
小さな鼻。この子を一言で例えるならば、 "フランス人形" でしょうか。

「ヒメユリ、今夜あなたのご主人様になる立花様よ。ご挨拶を……」
「はい」
彼女は正座をすると、両手を畳に付いて頭を深く下げました。
「ヒメユリと申します。立花様、ご調教よろしくお願い申し上げます」
ヒメユリ、ヒメユリちゃん……。なんて可愛い名前なんでしょう。本当に
この子にピッタリな名前だと思いました。
彼女はあたしと目が合うと、恥ずかしげに俯いてしまいました。

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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土