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あなたの燃える手で

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白い魔女 6

22
彼女に促され、あたしは隔離室に入室した。
そこは10畳以上はあるかなり広い病室だった。しかしちょっと、いや大分
変わった病室だった。
まず目についたのは、部屋の真ん中がカーテンで仕切られていることだ。
窓側半分は通常の病室で、ベッドにテレビ、小さな棚にベッド横のサイドボ
ード。窓からの日差しはまだ閉まっているカーテンを明るく照らしている。

しかしもう半分は、かなりの違和感がある。
まずは床。床は浴室のようなタイル張りで、部屋の中央には大きな排水溝が
ある。そして一番の違和感は、なんと言ってもそこにあるベッドだ。
そのベッドはクッションのない。ベッドというより手術台なのだ。
つまりこの隔離室は、カーテンで仕切られた半分は病室、もう半分は手術室
のようだった。

あぁなんだろう、このゾクゾクする感じは。期待、興奮、欲情、発情。
そしてそんなあたしに、あの院長の言葉が……。
「完璧な防音室であなたと二人きりになったら、二人の声は誰にも聞こえな
い。あなたは何回も絶頂を味わって、それでも責められて……」
そんな言葉を思い出しながら、あたしは婦長さんに聞いてみた。
「あのう、この部屋って防音室って聞いたんですけど……」
「そうですよ。部屋でクラッカーを鳴らしても外には何も聞こえません。隔
離室っていうのはそういう意味なんです。世間から完全に隔離されている。
だから窓も開きませんし、ガラスも二重になっていて完全防音です。ちなみ
にガラスは特殊ガラスで、カーテンを開けても外から室内は見えません」
「ホントに隔離されているんですね」
「えぇ……。それから、病室から出るときは、ナースコールでナースステー
ションに連絡してくださいね。普段は施錠されていて勝手に外に出れません
から。連絡して解錠してもらってください」
「それってもう幽閉では……、って思ったけど。何故かどこかで喜んでいる
自分がいた。やっぱりあたしは少しおかしいのだろうか……?」



夢の森病院の婦長『御堂雪絵』は、興味深げに隔離室を見回す『青山皐月』
を後ろから見ていた。細くもなく太くもない。スリーサイズを勝手に想像す
るならば、バストが86。ウエストが58。ヒップは90ぐらいだろう。
暗めのブラウン系の髪は、肩で綺麗に切りそろえられ、顔もなかなかに可愛
い。キツネ顔かタヌキ顔かと聞かれれば、整ったタヌキ顔だろう。

しかしこの女が、そんな性癖を持っているとは、院長から診察室での出来事
を聞かなければ、到底信じられない。
だから雪絵は知っていた。この青山皐月が今貞操帯を装着され、一週間の禁
欲状態にあることを……。
一週間の禁欲。これ自体人によっては何でもないことなのかもしれない。
しかし彼女にとっての一週間は、しかも院長との余韻を残し、一週間後の悦
楽を約束された一週間は、この性癖を持った彼女にとって、とてつもなく長
く感じられたに違いない。
そして皐月を禁欲から解放する為の貞操帯の鍵は、雪絵が真弓から預かり、
今ナース服のポケットに入っているのだった。
そして雪絵は静かに言った。
「一週間、長かったでしょう?」
「えっ……?」
「シタくてシタくて、堪らなかったんじゃありませんか?」
雪絵はポケットから、皐月が見忘れるはずのない鍵を出して見せた。

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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土