2ntブログ

あなたの燃える手で

Welcome to my blog

緋色の奥義

其の十七
艶魔衆頭領『無空』と淫靡衆頭領『幻空』は、その日の夕刻、艶魔堂と淫靡
楼をそれぞれ後にした。
向かった先は外でもない、二つの谷の中間地点にある『濡髪山』だ。

西の空が茜色の染まる頃、無空と幻空はこの山の中腹にある洞窟の奥で向か
い合っていた。洞窟の中には太い蝋燭が数本、そして二人の間にも同じ蝋燭
が一本、ユラユラと青白い炎を揺らしている。
「久しぶりよのう、幻空」
「この前ここで会ってから、かれこれ四、五年になるかのう」
「あの時は何もせずなんだが、今宵は……」
「ふふふっ、それはそれでまた一興……。久しぶりじゃ」
「ところで無空、お互い出した三人のくノ一。やはりダメなんだか」
「あれらは惜しいことをした。忍びとはいえ、よい作品だった」
「一時は "椿勝利" の知らせを受けたものの、あやつも烏の針を受け果てた
ようじゃ」
「そちらの桔梗とうちの百舌も、互いの股を舐め合ったまま……」
「それに梟とお蘭。あの二人ではまさに合わせ鏡。引き分けは目に見えてお
ったわ」
「しかし、今度は負けぬ」
「こちらもじゃ……」
無空と幻空のゆったりとした話は、それからどれくら続いたろう。
昇ったばかりの三日月が、大きく傾いていたのは間違いない。

「さて、そろそろまた作ろうかのう。新た作品を……。姉者」
「そうよのう。さりとて、もうどちらが姉でも妹でも構わぬ」
「そうじゃな、同じ日生まれの同じ顔」
「余人には見分けのつかぬ顔ともう一つ、我ら姉妹には男根が」
「両性を具有する我ら故、鬼神のごとく術を使うくノ一を生み出せる」
「さぁ、幻空、我が精をお主が腹に入れてくれようぞ」
「その後は無空、我が精をお主の腹に入れてくれようぞ」
「そしてまた、作品という娘たちを戦わせる」
「我ら姉妹の精を受け、同じ顔の同じ腹から生まれる娘たちをのう……」
「餌は相変わらず性の奥義書、ラーマ・カイラじゃ」
「そう言えば、表向き種付け用と用意した男どもは……、どうした?」
「もう始末した」
「こちらもじゃ」
「奴らがいないと……。この秘密は誰にも知られてはならぬ」
「そういうことじゃ」
「では、幻空……」
「無空……」
二人は立ち上がると帯を解いた。ハラリと落ちた着物の下からは、若い果実
か熟れた果実か。どちらとも言い難い白い体が現れたのだ。
「相変わらず綺麗な体じゃ……」
「お主もな……」
二人は抱き合うと唇を近づけた。同じ顔から同じ舌が伸び、同じように絡ま
り合う。
「焦らしてやろうか、無空。いつもの鳴き声を上げるまで……」
「何度も逝かせてやろうぞ、幻空。いつもの嗚咽を繰り返すまで……」

知りすぎたお互いの体を責め会うのは簡単だった。
二人は交わるにつれ、その肌はさらに艶めきハリを取り戻していった。
そして今、その体はもう二十歳のそれを思わせるほどに若返っていた。
その体は敏感に研ぎ澄まされ、若き日の新鮮な快感が蘇っている。
そんな敏感な体を、まずは幻空が上になり、下になった無空を絶頂間際で焦
らし始めた。

Comments 0

Leave a reply

About this site
女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
About me
誠に恐縮ですが、不適切と思われるコメント・トラックバック、または商業サイトは、削除させていただくことがあります。

更新日:日・水・土